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遺言書と遺産分割の相談事例

相続人全員なら遺言書と違う分け方に変えられますか?

ご相談

再構成した相談例

父の遺言書には、実家を長男が相続すると書かれています。母が住み続けることになり、兄弟も実家を母名義にすることへ賛成しています。相続人全員が納得していれば、遺言書と違う内容の遺産分割協議書を作れますか。

全員の合意で違う分け方をする場合はありますが、条件の確認が先です

遺言内容を知った相続人全員が合意し、相続人以外の受遺者などが関係しない場合には、遺言書と異なる分け方が扱われることがあります。ただし、相続人全員の合意だけで必ず変更できるとは限りません。遺言書どおりの登記や払戻しをする前に、関係者と条項を確認します。

相続人以外の方や法人へ財産を遺贈すると書かれていれば、相続人だけの話合いでその権利をなくすことはできません。遺言執行者が指定されている場合や、遺産分割を禁止する条項がある場合も、相続人だけで先へ進めないことがあります。

すでに遺言書どおりの登記や払戻しが終わった後に財産を移し直すと、相続手続ではなく、新しい贈与や譲渡として扱われる可能性があります。変更を考えるなら、名義変更や払戻しの前に確認します。

話し合う前に、3つを確認します

  • 財産を受け取る方は、全員相続人か相続人以外の親族、知人、法人などへ遺贈する内容があれば、その受遺者の権利が関係します。「相続人全員」の合意だけでは足りません。
  • 遺言執行者や分割禁止の定めがないか遺言執行者が指定されていれば、その権限と就任状況を確認します。一定期間は遺産分割をしないという条項がないかも、遺言書の全文から確認します。
  • 登記・払戻し・名義変更をまだしていないか遺言書どおりの手続がすでに完了している財産を移し直す場合、登記原因や税務上の扱いが変わる可能性があります。手続済みかどうかを財産ごとに確認します。

先に遺言書の関係者をそろえ、手続前に内容を決めます

  • 遺言書の全文と財産一覧を確認する

    変更したい財産だけでなく、残余財産、遺言執行者、遺産分割の禁止などの条項も確認します。

  • 遺言で権利を受ける方を確認する

    法定相続人、相続人以外の受遺者、法人、遺言執行者を分けます。関係する方を抜いたまま協議書を作りません。

  • 変更後の分け方を、関係者全員で確認する

    不動産、預貯金、有価証券を誰が取得するかを具体的に決めます。相続税の申告がある場合は、署名や名義変更の前に税務も確認します。

  • 確認した内容に合う書面と登記を選ぶ

    遺産分割協議として整理できるのか、遺贈の放棄や別の権利移転が必要なのかを確認し、その結果に合う書面を作ります。

相続人全員の合意だけで進めない理由先に確認すること
相続人以外の受遺者がいるその方の権利を相続人だけでは変更できません。受遺者の意思と、遺贈の内容・種類を確認します。
遺言執行者がいる相続人による処分が遺言の執行を妨げることがあります。遺言執行者の権限と、変更についての対応を確認します。
遺産分割を禁止する条項がある禁止されている期間中は自由に分割できません。禁止の対象となる財産と期間を確認します。
遺言どおりの手続が終わっている後の移転が贈与・譲渡として扱われる可能性があります。登記と払戻しの完了状況を確認し、税理士にも相談します。

税務は、遺言と違えば必ず贈与税になるわけでもありません

国税庁は、特定の相続人に全部の遺産を与える遺言があり、その受遺者を含む相続人全員で異なる分割をした事例について、受遺者が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたものとして扱う考え方を示しています。この事例では、受遺者からほかの相続人への贈与として贈与税を課す取扱いにはなっていません。

この取扱いを、すべての分け直しへ広げないでください

相続人以外の受遺者がいる、すでに登記や払戻しが終わっている、対価の支払いがあるなど、事実関係が違えば税務上の扱いも変わります。署名・登記・送金の前に、税理士へ確認します。

私なら、遺言書どおりの手続をいったん止めて確認します

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

ご家族全員が別の分け方に納得していると、先に協議書を作りたくなります。ただ、相続人全員だと思っていた範囲の外に受遺者がいたり、遺言執行者がすでに手続を始めていたりすると、書面を作り直すだけでは済みません。

そこで、変更したいと決まった時点で、遺言書による登記・払戻し・送金をいったん止めるようにします。遺言書の全文、関係者、手続状況をそろえてから、遺産分割として進められるかを確認します。

この相談で浦和ホームができること

遺言書と異なる内容で相続登記できるかを整理します

  • 遺言書の財産、受遺者、遺言執行者、分割禁止の条項を確認する
  • 現在の登記と、すでに行われた相続手続を確認する
  • 争いがない場合に、登記で使う書面と必要書類を整理する
  • 確認した内容に沿って相続登記を申請する

遺言内容や受遺者との間に争いがある場合は弁護士へ、相続税・贈与税の判断は税理士へ相談する範囲です。

協議書へ署名する前、遺言書どおりの名義変更をする前に確認します。

遺言書と違う分け方について相談するさいたま市浦和区の司法書士事務所/全国の不動産に対応

遺言書と異なる遺産分割についてよくある質問

兄弟全員が賛成していれば、相続人全員の合意ですか?

配偶者など、ほかに相続人がいればその方の合意も必要です。さらに、相続人以外の受遺者や遺言執行者が関係することもあるため、戸籍と遺言書の全文から関係者を確認します。

遺言執行者が家族なら、相続人だけで変更できますか?

家族であっても、遺言執行者としての権限と立場は別に確認します。遺言の執行を妨げる処分にならないかを確かめず、相続人だけの協議書で進めないようにします。

すでに長男名義へ登記した後でも協議書で戻せますか?

後から名義を移す手続は、当初の遺産分割とは異なる贈与や譲渡として扱われる可能性があります。新しい協議書だけで戻そうとせず、登記と税務の両方を確認します。

そもそも遺産分割協議書が必要か分かりません

遺言書に書かれた財産と、書かれていない財産を分けます。「遺言書がある場合も遺産分割協議書は必要ですか?」で最初の判断を説明しています。

この記事は、相続開始後に見つかった遺言書と異なる分け方を検討している一般的な場面を説明しています。受遺者、遺言執行者、遺産分割禁止、遺留分、相続放棄、手続済みの財産などがある場合は、書面を作る前に個別の確認が必要です。

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