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遺言書の相談事例

遺言書があるのに相続手続で使えないのはなぜですか?

ご相談

再構成した相談例

父が自宅で保管していた自筆の遺言書を銀行へ持っていったところ、このままでは手続できないと言われました。日付と署名はあり、長男へ財産を渡すことも書かれています。遺言書が無効という意味でしょうか。

使えないと言われても、直ちに無効とは限りません

遺言書が手続で使えない理由は、検認などの準備不足、財産を特定できない記載、遺言書の効力の問題に分かれます。まず、どの種類の遺言書で、提出先から何が足りないと言われたのかを確認します。

自宅などで保管されていた自筆証書遺言は、通常、家庭裁判所の検認を経てから手続に使います。検認前だから受け付けられない場合は、検認を済ませれば進められる可能性があります。検認は、遺言書が有効か無効かを決める手続ではありません。

一方、日付や署名などの方式に問題がある、財産や取得する方を特定できない、本人が作成したかを相続人間で争っているという場合は、必要な対応が異なります。協議書を作れば必ず解決するとも限りません。

最初に、3つを分けて確認します

  • どの種類の遺言書か公正証書遺言、法務局で保管された自筆証書遺言、自宅などで保管された自筆証書遺言では、検認の要否と提出する書類が異なります。
  • 原本または手続に使う証明書があるか自宅保管の自筆証書遺言では遺言書の原本、公正証書遺言では正本・謄本、法務局保管の遺言では遺言書情報証明書など、遺言の種類に合う書類を確認します。写真やコピーだけで進めようとしていないかも確認します。
  • 財産と取得する方を特定できるか現在の登記事項証明書や口座情報と照らし、どの財産を誰が取得する内容かを読み取れるか確認します。遺言作成後の売却、分筆・合筆、金融機関の統廃合なども見ます。

「使えない理由」を3つに分けると、次の手続が見えます

まだ必要な手続が済んでいない

自宅などで保管されていた自筆証書遺言について、家庭裁判所の検認をしていない場合などです。遺言書の効力を決める前に、必要な手続を済ませます。封印のある遺言書は、自分で開封せず家庭裁判所へ提出します。

記載だけでは財産を特定できない

「自宅を長男へ」とだけ書かれ、土地と建物のどこまでを指すか分からない場合などです。現在の登記や資料を使って同じ財産だと確認できるかを調べます。補足できなければ、その財産について別の手続が必要になります。

遺言書の効力そのものに問題がある

自筆の要件を満たさない、本人の筆跡ではないと主張されている、作成時の判断能力について争いがある場合などです。相続人間に争いがあれば、登記書類の問題ではなく弁護士へ相談する範囲になります。

検認相続手続で確認する書類
公正証書遺言不要公正証書遺言の正本または謄本などを確認します。
法務局保管の自筆証書遺言不要法務局が交付する遺言書情報証明書などを確認します。
自宅などで保管した自筆証書遺言通常は必要遺言書の原本と検認済証明書などを確認します。
秘密証書遺言必要封印された遺言書を家庭裁判所へ提出し、検認を受けます。
検認を受けても、有効と保証されたわけではありません

検認は、遺言書の形状や日付、署名などを確認し、現在の状態を明確にする手続です。遺言書の内容や効力について争いがあれば、検認とは別に解決する必要があります。

私なら、「無効です」と決める前に止まった理由を聞きます

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

窓口で「この遺言書では手続できません」と言われると、遺言書そのものが無効だと思ってしまいますよね。実際には、検認済証明書や戸籍が足りないだけのこともあれば、不動産の表示を資料で補えることもあります。

最初に行うのは、遺言書を捨てて協議書へ切り替えることではありません。何が足りないために手続が止まったのかを特定することです。公正証書遺言でも、作成後に財産や関係者が変わっていれば確認が必要です。

公正証書遺言や専門家が関与した遺言は、方式や表現の問題が起こりにくい傾向があります。ただし、どの程度の遺言書が手続で使えなかったかを示す公的な全国統計は確認できません。頻度ではなく、目の前の遺言書と現在の財産を確認します。

この相談で浦和ホームができること

遺言書が相続登記に使える状態かを確認します

  • 遺言書の種類と、検認などの手続状況を確認する
  • 不動産の記載を現在の登記事項証明書と照らす
  • 不足する戸籍や住所証明書などを整理する
  • 争いがなければ、遺言書に基づく相続登記を申請する

遺言書の偽造、作成時の判断能力、遺留分などについて相続人間で争いがある場合は、弁護士へ相談する範囲です。

窓口で止まった理由が分かる書面や案内があれば、遺言書と一緒に確認します。

遺言書を使う相続登記について相談するさいたま市浦和区の司法書士事務所/全国の不動産に対応

相続手続で使う遺言書についてよくある質問

封印された遺言書を開けてしまうと無効ですか?

開封したことだけで遺言書が無効になるわけではありません。ただし、封印のある遺言書は家庭裁判所で開封する決まりです。開けてしまった場合も、そのまま保管して速やかに検認を申し立てます。

検認を受ければ、遺言書は必ず有効になりますか?

検認は遺言書の有効・無効を判断する手続ではありません。方式不備、筆跡、作成時の判断能力などについて争いがあれば、検認とは別に確認する必要があります。

法務局で保管された自筆証書遺言なら、内容も保証されていますか?

保管申請時に、自書、日付、氏名、押印などの外形的な確認が行われ、検認も不要です。ただし、財産の特定や遺言内容の実現可能性まで、すべて保証される制度ではありません。

遺言書を使えなければ、すぐ遺産分割協議書を作りますか?

先に、手続不足を補えるのか、遺言書の効力が及ばない財産なのかを確認します。協議書の要否は「遺言書がある場合も遺産分割協議書は必要ですか?」で財産ごとに分けています。

この記事は、相続開始後に遺言書を使って相続登記や金融機関の手続を進めようとしている一般的な場面を説明しています。遺言書の効力や本人の意思について争いがある場合は、弁護士へ相談してください。金融機関の必要書類は各社で異なります。

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