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相続登記と実家売却の相談事例

売却代金を兄弟で分ける場合、実家は誰の名義に相続登記しますか?

ご相談

再構成した相談例

父の実家は、売却してから兄と私で代金を半分ずつ分けることにしました。相続登記は兄と私の共有名義にするのでしょうか。それとも、売却の手続きを進める兄一人の名義にしたほうがよいのでしょうか。

売却代金の分け方に合わせて、相続登記の名義を決めます

売却代金を兄弟で分けるなら、「誰が売主になるか」と「代金を何割ずつ受け取るか」を先に決め、その内容に合わせて相続登記の名義と持分を決めます。二人が半分ずつ受け取るのであれば、それぞれ2分の1ずつの共有名義で相続登記をするのが、もっとも分かりやすい形です。

一方で、売却手続きのために、代表者一人の名義へ相続登記をする方法もあります。ただし、単に名義を一人へ集めるわけではありません。遺産分割協議書に、売却するための名義であること、代金の分配割合、費用の負担、精算方法を明確にしたうえで選びます。

相続登記の名義を先に決めてしまうと、売主として手続きをする人、代金を受け取る人、確定申告をする人の関係が分かりにくくなります。売却が決まっているときほど、相続登記と代金の流れを一続きで確認しておくと安心です。

相続登記の名義を決める前に確認すること

  • 売却代金は、誰が何割受け取るか兄弟で均等に分けるのか、負担した費用やほかの遺産も含めて割合を決めるのかを確認します。売却価格がまだ決まっていなくても、割合自体は決められます。
  • 売買契約や決済に、誰が関わるか共有名義にすると、原則として兄弟全員が売主になります。遠方に住んでいる、日程を合わせにくいなどの事情があれば、売却の進め方と合わせて考えます。
  • 売却費用と税金を、どこまで見込んでいるか仲介手数料、測量費、片付け費用などを売却代金から差し引くのかを決めます。譲渡所得の申告が関わるため、所有割合と代金の取得割合は、売却前に税理士へ確認しておくと安心です。

売却代金の割合から、相続登記までをつなげます

「とりあえず長男の名義にしておこう」と相続登記を先に進めるのではなく、売却代金の受け取り方を決めたうえで、遺産分割協議書と相続登記をそろえます。

売却代金を各2分の1で分ける場合の、兄弟の共有名義と代表者一人の名義による相続登記の流れ
どちらの方法でも、相続登記の名義、売却する人、売却代金の分配を、遺産分割協議書から実際の送金まで一致させます。
  • 実家の現在の登記を確認する

    土地と建物の名義、持分、私道持分などを確認します。売却する実家に含まれる不動産を、相続登記の前に特定します。

  • 売却後に残る金額と、分ける割合を決める

    査定額を参考にしながら、売却代金からどの費用を差し引くか、残りを誰が何割ずつ受け取るかを決めます。

  • 相続登記の名義と持分を決める

    売却代金の割合と同じ持分で共有登記をするか、売却のために代表者一人の名義にするかを決めます。代表者一人の名義にする場合は、換価(売却)の便宜のための単独名義であることが分かる協議内容にします。

  • 遺産分割協議書を作成し、相続登記を申請する

    売却する不動産、登記名義、売却代金の分配割合、共通費用、精算方法を書面でそろえます。協議書の具体的な書き方は「換価分割の遺産分割協議書の書き方」で説明しています。

  • 実家を売却し、決めた割合で精算する

    売却代金と費用の明細を確認し、協議書で決めた割合に従って分配します。代表者が一括して受け取る場合も、入出金と送金の記録を残しておきます。

共有名義と、代表者一人の名義の違い

どちらかが必ず正解というわけではありません。兄弟の住まい、売却手続きに関われる人、代金の受け取り方によって、無理のない形は変わります。

確認すること兄弟の共有名義代表者一人の名義
相続登記売却代金の割合に合わせて、兄弟それぞれの持分を登記する売却のため、代表者一人が不動産を取得する形で登記する
売買の当事者原則として、共有者全員が売主になる登記名義人である代表者が売主になる
代金の流れ各人が自分の持分に応じた代金を受け取る形が分かりやすい代表者が受け取り、協議で決めた割合に従ってほかの相続人へ送金する
事前に決めること持分、共通費用、売却条件の決め方換価の目的、分配割合、費用、精算方法、税務上の取扱い
代表者の名義にするとき

国税庁は、共同相続人のうち一人の名義で相続登記をしたことが換価(売却)のための便宜であり、決めた内容に従って実際に代金が分配される事例について、贈与税は問題にならないと示しています。ただし、これは具体的な前提のある照会事例です。換価の目的と代金の分配を協議書で確定し、実際の送金までそのとおりに行うことが前提です。

私なら、名義より先に代金の流れを確認します

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

ご相談を受けたら、誰の名義にするかをすぐに決めるのではなく、売却代金を誰が何割ずつ受け取るのか、売却費用をどう負担するのかから伺います。

共有名義は代金の流れが分かりやすい一方で、売却に兄弟全員が関わります。代表者一人の名義は手続きを集約できる反面、協議書と精算の内容をより丁寧にそろえる必要があります。

どちらかを先に決めてご家族の事情を当てはめるのではありません。ご兄弟が実際にできる進め方を伺い、名義だけを先に決めることはしません。相続登記から売却後の送金まで、同じ合意内容でつながる形を選びます。

相続登記から実家の売却まで一つの窓口で

売却代金の分け方を反映した相続登記を組み立てます

  • 実家と私道持分など、売却と相続登記の対象を確認する
  • 兄弟それぞれが受け取る割合と、売却費用の負担を確認する
  • 共有名義と代表者名義のどちらが進めやすいかを比べる
  • 売却と精算の内容を反映した遺産分割協議書を作成する
  • 相続登記を申請し、登記後の査定や売却も続けて相談する

査定額や買主が決まっていない段階でも相談できます。兄弟で話している分配割合と、現在手元にある不動産の書類から伺います。

戸籍収集、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請までまとめて進められます。

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売却代金を分ける相続登記についてよくある質問

兄弟で半分ずつ代金を受け取るなら、必ず各2分の1で相続登記をしますか?

各2分の1の共有名義は、登記と代金の割合が一致する分かりやすい方法です。一方、換価のために代表者一人の名義にする方法もあります。協議書の内容と税務を確認したうえで選びます。

一人が売却代金を受け取り、後からほかの兄弟へ送金しても大丈夫ですか?

換価分割として事前に合意し、協議書で分配割合と精算方法を明確にして、そのとおりに送金する形があります。一人が単独で取得した不動産の代金を後から個人的に渡すのとは区別できる書面と入出金の記録が必要です。

共有名義にしたら、兄弟全員が決済場所へ行く必要がありますか?

全員が同じ場所へ集まらなくても、委任状などを使って進められる場合があります。ただし、共有者全員が売主であることに変わりはありません。買主、仲介会社、売買の登記を担当する司法書士が求める本人確認と委任書類を先に確認しておきます。

売却価格が決まっていなくても、相続登記の名義を決められますか?

決められます。売却価格そのものではなく、売却代金から費用を差し引いた残額を、誰が何割受け取るかを決めておきます。

この記事は、相続人間に争いがなく、相続した実家を第三者へ売却して代金を分ける一般的な場面を説明しています。適切な相続登記の名義、遺産分割協議書の記載、譲渡所得の申告は、相続人の関係、不動産、分配割合、売却条件によって変わります。

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