固定資産税の課税明細書がありません。相続登記の評価額はどう確認しますか?
ご相談
父の実家を相続登記するため、登録免許税を計算しようとしています。固定資産税の納税通知書や課税明細書を探しましたが、見当たりません。評価額は、ほかの書類でも確認できますか。
課税明細書がなくても、固定資産評価証明書で確認できます
課税明細書が見当たらなくても、相続登記の準備は進められます。不動産のある市区町村へ固定資産評価証明書を請求すると、登録免許税の計算に使う評価額を確認できます。相続登記を申請する年度の証明書を用意します。
納税通知書は毎年届く書類なので、相続が始まった時点では前年分しか残っていなかったり、ほかの郵便物に紛れていたりします。見当たらないことは珍しくありません。同じ書類を探し続けなくても、役所が発行する証明書へ切り替えられます。
証明書を請求する前に、三つだけ確認します
固定資産評価証明書は、不動産を指定して請求する書類です。先に次の三つが分かると、役所への請求が進めやすくなります。
- 相続登記する土地と建物現在の登記事項証明書で、土地の地番、建物の家屋番号、亡くなった方の名義と持分を確認します。普段使う住所だけでは、証明書の対象を特定できないことがあります。
- 不動産のある市区町村評価証明書は、亡くなった方の住所地ではなく、不動産のある市区町村へ請求します。違う市区町村に不動産があれば、それぞれの自治体で確認します。
- 相続登記を申請する年度登録免許税は、登記申請日の属する年度の評価額で計算します。3月に準備を始め、4月以降に申請する場合は、新年度の証明書が必要になります。
課税明細書がないときは、この順番で評価額を確認します
- 現在の登記で、対象不動産を確認する
実家一軒でも、土地が複数の地番に分かれ、建物が別に登記されていることがあります。証明書を請求する前に、相続登記する不動産を登記から確認します。
- 不動産のある市区町村へ請求する
相続人から、固定資産を担当する窓口へ評価証明書を請求します。郵送や電子申請の可否、代理人による請求に必要な委任状は、自治体ごとに確認します。
- 相続人であることを示す書類を添える
所有者が亡くなっているため、請求する方が相続人であることを確認できる戸籍などを求められます。本人確認書類だけでは、亡くなった方との関係までは確認できないためです。
- 土地と建物の評価額を確認する
証明書に記載された「価格」または「評価額」を、土地と建物に分けて確認します。共有持分だけを相続する場合は、現在の登記にある持分も合わせて確認します。
固定資産評価証明書は、登録免許税を計算するために使います
何が書かれているか
土地の所在・地番・地目・地積、建物の所在・家屋番号・種類・床面積、所有者、評価額などが記載されます。自治体によって様式や名称は異なります。
相続登記のどこで使うか
申請書に記載する課税価格と登録免許税を計算するために使います。売買価格や購入時の金額ではなく、固定資産課税台帳の価格が計算の入口になります。
誰が請求するか
所有者本人のほか、所有者が亡くなっている場合は相続人などが請求できます。相続人から委任を受けた代理人が請求できる場合もあります。必要書類は自治体の案内を確認します。
どこへ請求するか
不動産所在地の市区町村です。亡くなった方の最後の住所や、相続人の現在の住所ではありません。
評価証明書は、指定した不動産の評価額を確認する書類です。納税通知書に載らない非課税の私道や共有持分が別にあることもあるため、相続登記の対象は現在の登記と照らします。
さいたま市では、窓口・郵送・電子申請の方法があります
さいたま市の固定資産評価証明書は、市税の窓口などで請求でき、郵送請求や、マイナンバーカードを使う電子申請も案内されています。亡くなった方の資産について相続人が請求する場合は、戸籍など相続関係を確認できる書類が必要になることがあります。
郵送の場合は、不動産の所在する区によって送付先の市税事務所が分かれます。土地と家屋はそれぞれ3件まで300円で、請求する物件数により手数料が変わります。
私なら、評価証明書を取る前に登記を見ます

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
課税明細書がないと相談されたとき、私はすぐに評価証明書の請求から始めるのではなく、まず現在の登記を確認します。土地はいくつあるのか、建物はどれか、持分はどうなっているのかが分からないままでは、何を証明してもらうのかが決まらないためです。
対象不動産が分かれば、次はそれぞれの所在地の市区町村へ証明書を請求できます。手元の課税明細書が見当たらないことより、登記と評価額を対応させることの方が大切です。
役所の書類が一枚なくても、そこで相続登記が止まるわけではありません。今分かっている不動産から順に確認できます。
評価証明書が届いたら、登録免許税を概算できます
- 登記の原因で「相続」を選ぶ
- 土地の「価格」または「評価額」を入力する
- 建物の「価格」または「評価額」を入力する
- 登録免許税の概算と内訳を確認する
証明書の課税標準額や税額ではなく、「価格」または「評価額」を入力します。私道、共有持分、複数筆がある場合は、現在の登記と照らして確認します。
固定資産評価証明書の価格欄が分かれば、その数字から試算できます。
登録免許税を計算する相続・売買・贈与に対応/入力内容はブラウザ内で計算関連Q&A
前年の固定資産評価証明書を使えますか?
相続登記の登録免許税は、登記を申請する年度の評価額で計算します。年度が変わっている場合は、申請年度の証明書を確認します。
相続人なら、本人確認書類だけで請求できますか?
所有者が亡くなっている場合は、本人確認書類に加え、亡くなった方との相続関係を確認できる戸籍などを求められます。自治体がすでに関係を確認できる場合など、扱いが異なることもあります。
評価証明書は、亡くなった父の住所地へ請求しますか?
請求先は不動産のある市区町村です。複数の市区町村に不動産がある場合は、それぞれへ請求します。
固定資産評価証明書に載っていれば、相続する不動産はそれで全部ですか?
それだけで全部とは限りません。指定した物件の証明書と、所有不動産を一覧で確認する名寄帳では役割が異なります。非課税の私道や共有持分を含め、現在の登記と照らします。
私道の評価額が書かれていません
固定資産課税台帳に価格がない不動産は、管轄法務局が認定する価額を使います。0円として終わらせず、私道の登記と持分を確認します。