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相続した不動産の取得費を確認する相談事例

親が家を買ったときの契約書がありません。売却前に何を探しますか?

ご相談

再構成した相談例

父から相続した実家を売ろうと思っています。家の書類を探しましたが、父が購入したときの契約書が見当たりません。権利証と古い通帳、住宅ローンの書類はあります。購入価格が分からないと、売却の税金を計算できないのでしょうか。片付ける前に、ほかに何を探しておけばよいですか。

契約書の控えや領収書も、購入代金の手がかりになります

まず、購入代金の領収書、契約書の控え、家を建てたときの請負契約書や工事代金の資料を探します。契約書が見つからないだけで、取得費をゼロや売却金額の5%に決める必要はありません。通帳や住宅ローンの書類も残し、いつ、誰に、何の代金を払ったかを他の資料と照合します。

相続した不動産の取得費は、原則として親が購入したときの代金などを基に計算します。相続した日の評価額に置き換えるものではありません。国税庁の相続した土地・建物の取得費の説明でも、この考え方が示されています。

この記事では、売却前に探す資料と、その資料で確認できることを説明します。査定の相談は書類探しと並行して進められますが、手取りの見込みを考えるため、購入時の資料も早めに確認しておきましょう。

実家や家族の手元に、どんな書類が残っている?

  • 購入・建築時のファイルや封筒売買契約書の原本だけでなく、コピーやスキャンデータ、領収書、代金決済時の精算書を探します。土地を買ってから家を建てた場合は、土地の購入書類と、建物の建築請負契約書や工事代金の領収書を分けて確認します。
  • 通帳・住宅ローン・過去の確定申告の書類購入時期の通帳、振込控え、住宅ローンの関係書類も捨てずに残します。過去に住宅ローン控除を申告したときの控えがあれば、その中に購入時や建築時の書類のコピーが綴じられていないかも探します。
  • ほかの家族が保管している書類実家で見つからなければ、兄弟姉妹などに、購入時の書類を預かっていないか確認します。権利証や登記資料と同じ封筒に入っていることも考えられるので、封筒の表題だけで捨てずに中身を見ます。

残っている資料のどこを見る?

書類の表題だけで判断せず、今回売却する家に関するものか、当時の購入価格や実際の支払いが記載されているかを確認します。領収書には手付金など代金の一部だけが書かれていることもあるため、見つかった1枚の金額だけで購入代金の総額と決めつけないようにします。

残っている資料確認する記載と、その意味
契約書の控え・領収書・精算書物件の所在や面積、売主と買主の氏名、契約日、売買代金、手付金や残代金の記載を確認します。契約書と領収書で、同じ支払いを二重に数えてしまわないように照らし合わせます。
建築請負契約書・工事代金の領収書施工会社名、建てた家の内容、工事代金、支払日を確認します。見積書しか見当たらない場合は、変更工事や最終的な支払額が分かる精算書類も探します。代金に土地代が含まれているかどうかも区別して確認します。
通帳・振込控え出金の日付、金額、振込先、摘要欄を確認します。通帳に大きな出金があっても、それだけでは住宅の購入代金とは限りません。手付金や残代金の支払いなのか、それ以外の支払いなのかを、契約書や領収書と照らし合わせて確認します。
住宅ローンの契約書・返済予定表借入時期や金融機関の名前を確認する手がかりです。借入額や返済残高を、そのまま購入価格として使いません。
権利証・登記事項証明書・課税明細書物件の所在、地番、家屋番号、建物の構造などを確認し、手元にある他の書類と同じ不動産かを確かめます。親が実際に支払った購入価格を示す書類とは役割が異なります。

国税庁の譲渡所得申告のチェックシート(令和7年分)でも、取得年月日・取得価額を確認する資料として、契約書、覚書、念書、領収証などが挙げられています。ここでは資料の種類を参考にしており、申告年に対応する書式は別に確認します。

土地と建物を合わせた金額しか分からないとき

手元の資料にある合計額を、根拠なく土地代と建物代に分けないでください。建物の取得費は購入・建築代金などから減価償却費相当額を差し引くため、土地とは計算が異なります。購入時の内訳、建築時期、構造が分かる資料を手元に残しておきます。建物の減価償却費相当額の計算は国税庁の建物の取得費の説明で確認できます。

例えば通帳に「2,000万円の出金」があっても、それだけでは家の購入代金の総額か、土地と建物のどちらの支払いかは分かりません。振込先や他の領収書と照合し、確認できたことと分からないことを分けて残します。この金額は説明のための架空例です。

家の中で見つからないとき、どこに問い合わせる?

  • 購入に関わった相手や会社を確認する

    残っている書類から、当時の売主、仲介した不動産会社、建築会社などの名前を確認します。連絡先が分かれば、契約書や精算書の控え、工事代金の記録が残っているかを問い合わせます。

  • 何の記録を探しているかを具体的に伝える

    問い合わせる前に、親の名前、購入したおおよその時期、物件の所在・地番・家屋番号、探している書類の種類をメモに書き出しておきます。相続人として照会する際に必要な本人確認書類や、相続関係を証明する書類についても相手方へ確認します。

  • 金融機関では、記録の有無と照会方法を聞く

    通帳やローンの書類から金融機関が分かれば、購入時期の取引記録を確認できるか問い合わせます。古い記録の保存状況や、相続人が照会する手続きは金融機関によって異なります。

昔の取引先から必ずコピーを取得できるとは限りません。保存期間が過ぎている、会社がなくなっているなどの場合もあるため、資料を探した先と回答をメモします。通帳や広告などの手がかりだけで、取得費として認められる金額を確定しないようにします。

それでも購入代金が分からないときは?

取得費が分からない場合などには、売却金額の5%を取得費とする方法があります。国税庁の取得費が分からないときの説明で案内されています。これは、親が実際にその金額で買ったことを意味するものではありません。

契約書がないからといって、最初から5%に決める必要はありません。領収書や手元に残っている資料で実際の取得費を確認できるか、5%で計算する方法との違いを、税務署または税理士へご確認ください。5%で計算する場合は、相続登記費用などを取得費へさらに加えることはできません。

親が購入時に買換えなどの特例を使っていた場合は、当時の実際の購入代金と、税務上の取得費が異なることがあります。もし以前の家の売却や買換えに関する申告書の控えが見つかったら、購入時の資料と一緒に手元に残しておきます。この点は国税庁の買換えなどで取得した資産の取得費の説明でも案内されています。

税金や申告の全体像、確認する特例や期限は、相続した家の売却と税金・確定申告で説明しています。

私なら、登記と売却の準備を並行して考えます

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

ご相談いただいたら、私はまず現在の登記と物件の状況を確認し、相続登記と売却の予定を整理します。親の購入時契約書がなくても、手元にある書類のままご相談いただけます。購入時の資料は捨てずに残し、取得費の確認も早めに進めておきたいと考えます。

取得費として使える金額は、税務署または税理士へご確認ください。当方では、相続登記、査定、売却の条件や日程についてご相談いただけます。

相続した不動産を売る方へ

手元の書類から、相続登記と売却の予定を確認します

  • 現在の登記と相続登記の状況の確認
  • 実家の査定と、売却条件・日程の相談
  • 登記・売却の準備に使う物件資料の確認

税額の計算や取得費の税務上の判断、確定申告の代行は当方の対応範囲に含みません。

購入時資料がそろっていない段階でも、売却の予定と現在の価格の目安を確認できます。

実家の簡易査定を試す査定額は購入価格や税務上の取得費を確定するものではありません。

関連Q&A

権利証が残っていれば、親の購入価格も分かりますか?

権利証や登記識別情報は、登記上の権利に関する資料です。通常、実際の購入価格や土地と建物の内訳は載っていないため、売買契約書や領収書などを別に探します。

通帳から大きな出金が見つかれば、取得費にできますか?

通帳の出金は、支払時期や相手方を確認する手がかりになります。ただし、その出金が土地代・建物代のどちらか、購入に直接関係するかを他の資料と照合する必要があります。出金額だけで取得費を確定しません。

固定資産税評価額を親の購入価格として使えますか?

固定資産税評価額は、固定資産税の計算などに使われる基準の価格です。親が実際に支払った購入価格とは役割が異なるため、取得費としてそのまま置き換えることはできません。

購入時の広告や査定書は取得費の資料になりますか?

当時の広告や査定書は、売り出されていた時期や価格帯を知る手がかりになることがあります。ただし、実際にその金額で契約して支払ったことまでを直接示すとは限らないため、契約書や領収書と同じ扱いにはできません。

契約書が見つからないまま査定を依頼できますか?

購入時の契約書が見つからない段階でも、査定や売却の相談は進められます。手元にある登記資料や建物の状態が分かる資料をそろえ、購入価格の確認がまだ済んでいないことを伝えて進めます。税務上の取得費の扱いについては、税務署または税理士へご相談ください。

個人が相続した土地や建物を売る場合の、購入時資料の探し方を説明しています。見つかった資料から実際に認められる取得費や、建物の減価償却、買換えなどの特例による影響は、税務署または税理士へ個別にご確認ください。親自身も相続や贈与で取得していた家であれば、さらに前の所有者の取得資料が必要になることがあります。

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