海外在住で印鑑証明書がない。一時帰国中に遺産分割協議書へ署名できる?確認フローチャート
ご相談
海外に住んでいて、日本の住民登録も印鑑証明書もありません。父の実家の相続について家族との話合いはまとまり、来月、一週間ほど日本に帰国する予定です。帰国中に遺産分割協議書へ署名し、相続の手続きも進められるでしょうか。
帰国中の署名はできますが、先に証明方法と予約を確認します
一時帰国中に署名することはできます。ただ、署名した協議書だけで手続きできるとは限りません。日本の公証人による認証を利用する方法や、海外の日本大使館・総領事館で署名証明を取得する方法などを、提出先に合わせて確認します。帰国前に必要な書面と予約を相談しましょう。
帰国前に確認したいことは?
- どの手続きに使う書面か不動産の相続登記に使うのか、どの銀行の預金手続きに使うのかを分けます。同じ協議書を出す場合でも、求められる証明方法や書式は提出先ごとに確認します。
- 帰国日・出国日と、予約できる日公証役場や金融機関へ、滞在中に対応できるかを早めに問い合わせます。協議書の文案が完成していなくても、予約できる日と事前確認の方法を相談します。
- 協議書の文面と、認証が必要な書類・通数協議書のほかに委任状や金融機関の所定用紙が必要かを確認します。文面の準備と予約の相談を並行して進め、署名する前に相続人全員の合意と最終文面を確かめます。
一時帰国中の認証と、海外の署名証明はどう選ぶ?
日本に住民登録のない海外在住の日本人の場合、日本へ一時帰国して手続きするのか、海外にいるまま進めるのかによって、証明を取得する窓口や準備が変わります。
| 方法 | 使う場面 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 海外の日本大使館・総領事館で署名証明 | 居住国で証明を取得し、日本へ書類を送る方法です。帰国しなくても準備できます。 | 管轄の在外公館、予約、必要書類、証明の形式を確認します。署名は領事の面前で行います。 |
| 日本の公証役場で署名の認証 | 一時帰国中に、作成した協議書などの署名について認証を受ける方法を検討します。 | その認証を提出先がどのような形で受け付けるか、公証役場の予約と持参書類を帰国前に確認します。 |
海外の日本大使館・総領事館では、日本の印鑑証明書を取得できない方に対し、国内の手続きに使う署名証明を発給しています。書類と証明書を綴り合わせる形式と、署名を単独で証明する形式があり、どちらを用意するかは提出先の指定を確認します。手続きの概要は外務省の署名証明の案内で確認できます。
海外在住者が協議書へ署名する前の確認フローチャート
相続登記と銀行の手続きを分け、必要な書面、証明方法、予約の要否を確認します。
公証役場での署名認証を使う場合は、提出先の取扱いと公証役場の空きを確認します。
滞在中に予約できるとは限りません。帰国前から問い合わせます。
管轄の公館で必要書類と証明の形式、予約の方法を確認します。署名は領事の面前で行うため、事前には署名しません。
署名する書面を、事前に署名せずに持参します。
利用する方法と日程が確認できたら
認証を受ける前に、相続人全員の合意内容と書面が一致しているか確かめます。
必要な証明書や住所を証する書類もそろえ、提出先の案内に沿って提出します。
日本国籍で日本に住民登録がない方を中心とする準備の案内です。外国籍の方などは、必要な証明や取扱いを別に確認します。
公証人の予約が取れないときは?
一時帰国の日程が決まったら、早めに公証役場へ問い合わせます。希望する日時に認証を受けられるとは限らず、事前に文面の確認や修正が必要になることもあります。予約の相談と協議書の準備は並行して進めます。
滞在中に予約できない場合も、帰国中だけで終えることを前提にしません。居住国の日本大使館・総領事館で署名証明を取得して送る方法などを、提出先と確認します。公館側の予約や発給までの日数にも余裕を持ちます。
公証役場には、何を伝える?
- 海外在住の日本人で、日本の印鑑証明書がないこと
- 認証を受けたい書類と、その提出先・使用目的
- 帰国日と出国日、希望する日時
- 本人確認資料、必要な原本の通数、事前に送る文案の有無
有効な日本旅券(パスポート)など、どの書類で本人確認ができるかを公証役場へ問い合わせます。本人確認のための書類と、登記で海外住所を証明するための書類は、同じものとは限りません。
署名の証明があれば、住所の証明も足りる?
署名の証明と、海外の住所を証する書類は別です。不動産を取得して登記名義人になる方については、海外住所の証明も確認します。在留証明は、海外の日本大使館・総領事館が居住地などを証明するものです。帰国前に必要か、どこで取得するかを確かめます。在留証明の概要
予約と文案の準備は、いつ始める?

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
最近は公証人の予約が混み合っており、希望どおりに手続きができない場合があります。「日本へ帰ってから公証役場へ行けばいい」と考えず、帰国前の段階から日程と書類を確認しておくことをお勧めします。
私なら、提出先の取扱いと予約の空きを先に確認します。海外の日本大使館・総領事館で署名証明を取る方法もあります。必要な証明、予約できる日、帰国の日程を踏まえて、どの方法で準備するか一緒に確認しましょう。
帰国中に何を準備できるか、迷っているときは?
- 相続登記と銀行手続きで、それぞれ必要な書面を確認する
- 協議書の文案と、署名・認証の準備を相談する
- 海外で証明を取得する方法も含め、日程を考える
どの証明を用意するか決まっていなくても構いません。帰国予定と今ある書類をもとに、必要な証明や文案の準備を一緒に確認します。公証役場の予約の空きと、提出先が求める書面も確かめて日程を考えます。
帰国前に、必要な証明と書類、準備の日程を一緒に確認します。
一時帰国に合わせた相続手続きを相談する分け方が決まっていて、まず文案を作りたい方へ
遺産分割協議書の文案を作る海外在住者の署名でよくある質問
協議書を公正証書にする必要がある?
海外在住だからという理由だけで、公正証書化が一律に必要になるわけではありません。協議書の署名について公証人の認証を受けることと、協議内容を公正証書にすることは別の手続きです。まず、提出先で必要な署名の証明方法を確認します。私署証書の認証について
既に協議書へ署名してしまったら?
海外の日本大使館・総領事館では、領事の面前で署名する必要があるため、事前に署名しないで持参します。一方、日本の公証制度には、公証人の面前で、既にある署名を自分で行ったことを本人が認める「自認認証」もあります。署名済みなら、利用する公館や公証役場と提出先へ、今回の書面で使える方法を確認してください。
海外にいるままでも進められる?
居住国の日本大使館・総領事館で署名証明を取得し、日本へ書類を送る方法があります。不動産登記では、一定の要件を満たせば居住国の公証人による署名証明を使う取扱いもあります。使う書式や証明方法は、取得する前に提出先へ確認します。法務省の海外居住者の署名証明の案内
日本に住民登録がある人も、同じ方法でいい?
この記事は、日本に住民登録がない海外在住の日本人を中心にしています。日本に住民登録がある方が、まだ印鑑登録をしていないという場合とは分けて考えます。外国籍の方や、日本国籍を失った方も同じ取扱いとせず、国籍や住所に応じて確認します。