土地と建物以外に、私道の持分も相続登記が必要ですか?
ご相談
父の実家を相続登記します。固定資産税の納税通知書には、実家の土地と建物しか載っていません。ただ、家の前の道路は近所の方と共有していたような気もします。道路の持分があるか分からないまま、土地と建物だけを相続登記して大丈夫でしょうか。
父名義の私道持分があれば、その持分も相続登記の対象です
家の前の道路について父名義の共有持分が登記されていれば、その持分も相続登記の対象です。ただし、私道持分は固定資産税の納税通知書に載らないことがあります。実家の土地と建物だけで申請を進める前に、共有持分まで含めて確認します。
納税通知書に書かれていなければ、家族が私道持分に気づかないのは無理もありません。道路は近所の方も使っていますし、ご本人も「自分の不動産を持っている」という意識が薄いことがあります。確認が漏れたからといって、相続人の準備が足りなかったわけではありません。
道路があるとき、最初に確認する3つの資料
- 不動産を購入したときの書類古い権利証、登記識別情報通知、売買契約書、重要事項説明書などに、自宅とは別の道路地番や持分が記載されていることがあります。
- 市区町村で取得する固定資産の一覧実家の地番だけを指定した証明書ではなく、亡くなった方が所有する土地・家屋全部について、共有物件も含めて確認したいことを伝えます。
- 道路部分の現在の登記書類から道路の地番が分かったら、登記事項証明書で現在の名義と持分を確認します。相続登記の対象を決める最後の確認です。
納税通知書だけで終わらせず、確認を重ねます
納税通知書、役所の台帳、法務局の登記は、それぞれ役割が違います。一つの書類だけで「ほかにはない」と判断するのではなく、分かった情報を次の確認へつなげます。
- 不動産に関係しそうな書類で、残っているものを確認する
書類の名前が分からなくても構いません。権利証、購入時の契約書、住宅ローンの書類などに、自宅とは別の地番がないかを見ます。共同担保目録から道路地番が分かることもあります。
- 市区町村へ、共有物件を含む名寄帳を請求する
特定の土地だけではなく、亡くなった方がその市区町村内に所有する土地・家屋全部を確認したいこと、共有物件も必要であることを伝えます。名寄帳の名称や出力範囲は自治体によって異なります。
- 必要なら、所有不動産記録証明制度も利用する
2026年2月に始まった制度で、亡くなった方が登記名義人として記録されている不動産を一覧で確認できます。ただし、登記上の旧住所などと検索条件が一致しないと抽出されないことがあります。制度の使い方は「所有不動産記録証明制度とは?」で説明しています。
- 分かった道路地番の登記を取り、父の持分を確定する
名寄帳や古い書類は、道路地番を知る手掛かりです。現在の登記事項証明書で父の名義と持分を確認し、実家の土地・建物とともに相続登記へ含めます。
さいたま市の名寄帳は「共有物件も必要」と指定します
さいたま市では、共有不動産の納税通知書は共有者のうち代表者へ送られます。亡くなった方が代表者でなければ、その方の手元に通知書が残っていないことがあります。
さいたま市の固定資産税証明交付・名寄帳請求書には、名寄帳について「共有物件:必要・不要」を選ぶ欄があります。実家の地番だけを指定した評価証明書ではなく、所有者の土地・家屋全部が記載される名寄帳を選び、共有物件も必要であることを明記します。
名寄帳に載る範囲や非課税地の扱いは、自治体によって異なることがあります。名寄帳で道路が見つからなくても、古い権利証や売買契約書、公図、現在の登記から分かることがあります。
私なら、納税通知書だけで相続登記の対象を決めません

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
家の前に私道がある場合は、実家の土地と建物だけで終わらせず、道路の権利関係まで確認します。まず、権利証や売買契約書など、購入したときの書類を見ます。次に、名寄帳を共有物件まで含めて取得し、必要に応じて所有不動産記録証明制度も利用します。
これらの書類は、どの道路地番を確認するかを知るための手掛かりです。最後は、道路部分の現在の登記を見て、父の名義と持分を確かめます。道路がある不動産ほど、相続登記の対象を丁寧に確認してから申請します。
書類を見ても、宅地の地番なのか道路の地番なのか分からないことは珍しくありません。ご自身だけで全部を見分けようとしなくても、残っている書類から一つずつ確認できます。
道路も含めて、父名義の不動産を確認します
- 権利証や売買契約書などから、道路地番の手掛かりを確認する
- 市区町村へ、共有物件を含む名寄帳を請求する
- 必要に応じて、所有不動産記録証明書を代理で請求する
- 道路部分の現在の登記から、名義と持分を確認する
- 実家の土地・建物・私道持分をまとめて相続登記する
不動産の書類を選び分けてから相談する必要はありません。納税通知書、権利証、契約書など、残っているものをそのまま確認します。
戸籍の収集から対象不動産の確認、法務局への申請までまとめて進められます。
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納税通知書に私道が載っていなければ、父は持分を持っていませんか?
そうとは限りません。共有不動産の通知書が別の代表者へ届いていたり、道路が非課税になっていたりすることがあります。手元の書類、名寄帳、現在の登記を重ねて確認します。
名寄帳を取れば、私道持分まで必ず分かりますか?
名寄帳の出し方や非課税地の扱いは自治体によって異なります。共有物件も含めて請求し、見つからない場合も、権利証や売買契約書、公図、登記情報から確認します。
古い権利証に道路の地番があれば、それだけで相続登記できますか?
権利証は道路地番を知る有力な手掛かりです。ただし、現在も父名義の持分があるかは、その道路地番の現在の登記で確認します。
所有不動産記録証明書を取れば、ほかの確認は不要ですか?
検索条件と登記上の氏名・住所が一致しない不動産は、抽出されないことがあります。また、見つかった不動産の持分などは個別の登記事項証明書で確認します。
私道の登録免許税は、どのように計算しますか?
固定資産税が非課税でも、登録免許税を0円として計算するとは限りません。評価方法は「私道や非課税の土地の登録免許税」で説明しています。