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相続登記の相談事例

遺産分割協議をして相続登記する場合、どの書類が必要ですか?

ご相談

再構成した相談例

父名義の実家は、母が相続することで家族の話合いがまとまりました。相続人は母と子ども二人です。遺産分割協議書のほかに、印鑑証明書や住民票が必要と聞きましたが、母だけのものですか。それとも、相続人全員分を用意するのでしょうか。

印鑑証明書と住民票は、必要になる人が違います

遺産分割協議書には相続人全員が実印を押します。相続登記に添付する印鑑証明書は、原則として登記申請人以外の相続人のものです。住民票は、新しく不動産の名義人になる方のものを用意します。

相続登記の必要書類を調べると、同じ書類名が出てきても、誰のものが必要なのかは説明ごとに違います。調べるほど、自分の場合は何を用意すればよいのか分からなくなりますよね。これは、相続人の関係や不動産の分け方という前提が違うためです。

書類を取りに行く前に、自分の相続で3つを確認します

  • 遺産分割協議に参加する相続人は誰か遺産分割協議は相続人全員で行います。まず戸籍などで相続人を確認し、話合いから抜けている方がいない状態にします。
  • 誰が不動産を相続するのか不動産を取得する方が登記申請人となり、その方の氏名と住所が新しく登記されます。ここが決まると、誰の住民票が必要かが分かります。
  • 法定相続情報一覧図に、取得する方の住所が載っているか住所を記載した一覧図の写しを使える場合は、相続登記へ別に住民票を添付しなくてよいことがあります。住所を載せていない場合や、その後に住所が変わった場合は、現在の住民票を確認します。

書類は、何を証明するのかで分けると分かりやすくなります

遺産分割協議による相続登記で使う主な書類を、役割ごとに分けます。すべての書類を、相続人全員が一通ずつ用意するわけではありません。

相続手続を経験した方の中には、戸籍を集める作業が一番大変だったと感じる方も少なくありません。必要になる戸籍は相続関係によって変わるため、ここでは一通ずつの集め方までは扱わず、何のために必要なのかだけ確認します。

運転免許証やマイナンバーカードで証明できるのは、その人が誰かということです。それだけでは、お父さまとの親子関係や、ほかに相続人となる方がいないことまでは証明できません。

ご家族の中では「相続人は私たちだけ」と分かっていても、法務局には戸籍という公的な記録で示す必要があります。戸籍は、誰が遺産分割協議に参加し、協議書へ署名して実印を押すのかを確定するための証明書です。

書類誰についての書類か何を確認するか
戸籍一式、または法定相続情報一覧図の写し亡くなった方と相続人誰が遺産分割協議に参加し、協議書へ署名して実印を押す相続人なのかを確認します。法定相続情報一覧図を作る場合も、最初に戸籍一式を集めます。
遺産分割協議書相続人全員相続人全員の話合いにより、誰がどの不動産を取得することになったのかを確認します。
印鑑証明書原則として、登記申請人以外の相続人遺産分割協議書へ押された実印を確認します。相続登記では、発行後3か月以内という制限はありません。
住民票の写し不動産を取得する相続人新しく登記名義人になる方の現在の氏名と住所を確認します。住所記載のある法定相続情報一覧図で省略できることがあります。
住民票の除票・戸籍の附票など亡くなった方登記簿に載っている所有者と、亡くなった方が同じ人であることを住所から確認します。
固定資産税の課税明細書・評価証明書など相続する不動産不動産を特定し、相続登記で納める登録免許税の計算に使う評価額を確認します。
法定相続情報一覧図だけでは、遺産分割の結果までは分かりません

法定相続情報一覧図は、戸籍で確認した法定相続人の関係を一枚にまとめたものです。お母さまが実家を取得するという話合いの結果は載らないため、遺産分割協議書は別に必要です。

  • 戸籍から、相続人全員を確認する

    まず戸籍一式を集め、相続人の範囲を確認します。戸籍の集め方は「亡くなった父の出生から死亡までの戸籍は、どうやって集めますか?」で説明しています。

  • 集めた戸籍を、法定相続情報一覧図にまとめる

    一覧図を作る段階では戸籍一式が必要です。いったん証明を受けておくと、その後の相続登記で戸籍の束に代えて使えます。法定相続情報一覧図の作成ツールでは、家族関係を入力しながら一覧図を作成できます。

  • 現在の登記を見て、協議書へ不動産を正確に記載する

    普段使っている住所ではなく、登記事項証明書に載っている所在・地番・家屋番号などから対象不動産を確認します。

  • 相続人全員で協議書を完成させる

    誰がどの不動産を取得するかを記載し、相続人全員が署名し、実印を押します。

  • 立場に応じた証明書を添えて、相続登記を申請する

    登記申請人以外の相続人の印鑑証明書と、不動産を取得する方の住所を証する書面などをそろえます。司法書士へ依頼する場合は、取得する方から委任状をいただきます。

母が実家を相続する場合で考えてみます

冒頭の相談例で、お母さまが実家を単独で相続し、お母さま自身が登記申請人になる場合を当てはめると、書類の分かれ方は次のようになります。

相続人協議書への押印主に用意する証明書
母(実家を取得する登記申請人)実印を押す住民票の写し。住所記載のある法定相続情報一覧図を使える場合は、別添を省略できることがあります。
子ども二人(実家を取得しない相続人)それぞれ実印を押すそれぞれの印鑑証明書

これは、遺言書がなく、相続登記の前に遺産分割協議が成立している一般的な例です。相続人の一人が亡くなっている、未成年者がいる、海外に住んでいるなどの事情がある場合は、署名する方や必要書類が変わります。

例外を、いま全部覚える必要はありません

まずは、相続人全員と不動産を取得する方を確認できれば十分です。事情に応じて追加される書類は、その方に関係するものだけを後から確認します。

私なら、先に「自分の相続」を確認します

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

相続登記について調べると、戸籍、印鑑証明書、住民票と、たくさんの書類名が出てきます。説明ごとに必要なものが違って見えるのは、前提となる相続人の関係や、不動産の分け方が違うためです。

ご自身で手続きを進めるなら、最初から書類を全部集める必要はありません。誰が相続人なのか。遺言書はあるのか。話合いで誰が不動産を取得するのか。まず、ご自身の相続がどのような状況なのかを確認します。

そこまで分かれば、印鑑証明書は誰のものが必要か、住民票は誰のものが必要かを分けて考えられます。私は、必要書類の一覧にその方を当てはめるのではなく、その方の相続から必要な書類を決めます。

法定相続情報一覧図に住所を載せるかどうかも、その確認をした後に決めます。順番を先に確かめておけば、必要のない証明書まで相続人全員分そろえることを避けられます。

この相談で浦和ホームができること

相続人の確認から、協議書・一覧図・相続登記までつなげます

  • 戸籍を確認し、遺産分割協議に参加する相続人を確定する
  • 集めた戸籍から、法定相続情報一覧図を作成する
  • 現在の登記を確認し、対象不動産を記載した遺産分割協議書を作成する
  • 印鑑証明書と住民票を、必要になる方ごとに案内する
  • 完成した書類を使い、相続登記を申請する

戸籍や印鑑証明書を全部そろえてから相談する必要はありません。話合いがまとまりそうな段階から、誰のどの書類が必要になるかを確認できます。

同じ書類を全員分取りに行く前に、相続人と取得する方から必要書類を分けます。

遺産分割協議の必要書類を確認してもらうさいたま市浦和区の事務所/全国の不動産に対応

関連Q&A

遺産分割協議書を作るために、相続人全員が集まる必要はありますか?

集まる必要はありません。全員が同じ分け方に合意した後、1通の協議書を順番に郵送する方法や、相続人ごとに協議証明書を作る方法があります。詳しくは「相続人全員が集まらずに遺産分割協議を進める方法」で説明しています。

不動産を相続する人の印鑑証明書も必要ですか?

相続登記に添付する印鑑証明書は、原則として遺産分割協議をした相続人のうち、登記申請人以外の方のものです。ただし、別の相続手続で全員分を求められることはあります。

不動産を相続しない人の住民票も必要ですか?

通常、住所を証する書面が必要になるのは、新しく不動産の登記名義人になる方です。不動産を取得しない方の住民票を、相続登記のために一律に用意するわけではありません。

法定相続情報一覧図があれば、遺産分割協議書はいりませんか?

必要です。法定相続情報一覧図で分かるのは法定相続人の関係です。誰が不動産を取得するかという話合いの結果は、遺産分割協議書で確認します。

印鑑証明書は発行から3か月以内のものですか?

相続登記で遺産分割協議書に添える印鑑証明書には、発行後3か月以内という制限はありません。古いという理由だけで取り直す前に、協議書の実印と対応しているかを確認します。

この記事は、遺言書がなく、相続登記の前に相続人全員の遺産分割協議が成立している一般的なケースを説明しています。相続人に未成年者・成年被後見人・海外在住者がいる場合や、数次相続・相続放棄がある場合は、必要書類と署名する方が変わります。

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