遺産分割協議書は何通作ればよいですか?原本の必要数と決め方
ご相談
父の遺産分割協議書がまとまり、これから印刷します。相続人は三人で、不動産の相続登記と二つの銀行の手続があります。三人分として三通作ればよいのでしょうか。それとも、法務局や銀行へ出す分を別に作るのでしょうか。
必要な通数は、ご家族や手続に合わせて決められます
何通にするか迷われる方は多いですが、「必ず○通」と決まっているわけではありません。相続人全員が原本を持つなら人数分、ひとりが原本を保管して他の方はコピーでよければ一通、複数の法務局や金融機関へ同時に出すなら、その手続に使う原本を追加して用意します。
よくあるのは、相続人一人につき一通ずつ原本を作り、それぞれが保管する形です。ただし、すべてのご家族がこの形にする必要はありません。署名を集める前に、誰が原本を持つかと、完成後にどこへ何部出すかを確認して、ご家族に合う形を選べます。
印刷する前に、まず3つを確認します
- 原本を手元に保管したい相続人は何人か全員が原本を持ちたいなら、相続人の人数分を作ります。ひとりが原本を保管し、他の方は内容確認用のコピーでよいという家族もあります。
- 法務局や金融機関へ、同じ時期に何部出すか一つの原本を同時に二か所へ出すことはできません。複数の法務局や金融機関へ並行して出すなら、各手続で原本確認ができる数を見込みます。順番に進めるなら、返却を受けた原本を次の手続へ使えることがあります。
- 協議書か、相続人ごとの協議証明書か一つの協議書を複数作る場合は、各原本へ相続人全員が署名して実印を押します。協議証明書なら、各相続人が自分の一通へ署名・押印し、全員分を一組として使います。
必要な原本数は、保管・提出・書面形式の順で決めます
最初から「三人だから三通」と決めるのではなく、完成後の使い方を一度並べます。次の図は、よくある四つの作り方を示しています。
- 完成後の提出先を一覧にする
相続登記を出す法務局、銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行、証券会社など、現在分かっている提出先を並べます。
- 同時に進める手続だけを数える
すべての提出先の数だけ原本が必要とは限りません。原本の返却を受けながら順番に進めるのか、複数を同時に進めるのかで必要数が変わります。
- 家族が保管する原本数を加える
手続中も各相続人が原本を持っていたいのか、取りまとめる一人が保管すればよいのかを決めます。提出用と保管用を兼ねる場合は、返却まで手元から離れることも考えます。
- 同じ最終文面を必要数印刷してから署名する
一つの協議書を複数作るときは、内容が同じであることを確認し、各原本へ相続人全員が自署して自分の実印を押します。コピーを増やすだけでは原本にはなりません。
よくある四つの作り方を比べます
相続人一人につき一通ずつ保管する
全員が合意書の原本を手元に残したい場合。相続人の人数分を用意し、各原本へ相続人全員が署名・実印を押します。よくある、分かりやすい形です。
ひとりが原本、他の相続人はコピーを保管する
手続を取りまとめる方が原本を管理し、他の方は内容を確認できればよい場合。家族で保管する原本は一通にできます。ただし、コピーが法務局や金融機関への提出に使えるとは限りません。
同時に出す法務局・金融機関の分を用意する
原本の返却を待たず、複数の相続手続を並行して進めたい場合。各提出先で原本確認ができる数を用意します。提出先ごとの返却方法を確認すると、必要以上に増やさずに済みます。
遺産分割協議証明書に分ける
相続人が遠方におり、一つの協議書を順番に郵送したくない場合。各相続人が自分の一通へ署名・実印を押します。全員分がそろって一組になるため、単純な保管用の通数とは意味が異なります。
相続人が離れて暮らしている場合の協議証明書の進め方は「遺産分割協議で相続人全員が集まる必要はありますか?」で説明しています。
不動産が複数の法務局の管轄に分かれると、相続登記の申請書は管轄ごとに作ります。同じ時期に出すなら、各申請で確認できる協議書原本を用意する方法があります。急がなければ、一つ目の申請で原本還付を受け、その原本を次へ使うこともできます。
法務局から協議書の原本を返してもらう準備は「相続登記の原本還付とは?」で確認できます。
銀行などでは、遺産分割協議書の原本提示を求め、確認後に返却する取扱いがあります。所定書類、原本かコピーか、いつ返してもらえるかは金融機関によって異なります。同時に進めたい金融機関が複数あるときは、署名を集める前に各社へ確認しておくと安心です。
私なら、相続人の人数だけでは決めません

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
全員が原本を持ちたいなら一人一通、ひとりが原本を持ち他の方はコピーでよければ一通、複数の法務局や金融機関へ同時に出すなら、その分の原本を用意します。遠方の方がいるなら、協議証明書に分ける方法もあります。
私は、決まった通数へご家族を当てはめるのではなく、それぞれに合う形で整えればよいと考えています。署名・実印を集めた後に原本が足りないと気づかないよう、完成後の提出先と保管方法だけは先に確認します。
相続人一人につき一通の協議証明書をPDF出力できます
- 相続人と財産、誰が何を取得するかを一つの原稿へ入力する
- 同じ合意内容で、各相続人が署名する協議証明書を出力する
- 各自が自分の一通へ自署・実印を押し、全員分を一組にする
浦和ホームの作成ツールは、一つの協議書へ全員が署名する形式ではなく、相続人ごとの遺産分割協議証明書を出力します。入力内容はブラウザ内で処理され、サーバーへ送信されません。
まずは全員で最終文面を確定し、協議証明書を相続人ごとに出力します。
遺産分割協議書作成ツールを使う無料/入力内容はブラウザ内で処理遺産分割協議書の通数についてよくある質問
相続人全員が、遺産分割協議書の原本を持つ必要がありますか?
全員が一通ずつ持つ形もありますが、それだけが正解ではありません。ひとりが原本を保管し、他の方がコピーを持つ形も考えられます。この後の提出先とご家族の保管方法に合う形を選べます。
コピーだけで相続登記や銀行の手続ができますか?
相続登記の添付書類は原本が基本で、銀行でも原本提示を求めるところがあります。家族が内容確認のために保管するコピーと、提出先で確認を受ける原本は分けて考えます。
不動産が二つの法務局の管轄にあると、協議書も二通必要ですか?
同じ時期に二つの法務局へ申請するなら、各申請で確認できる原本を用意します。順番に申請する場合は、一つ目で原本還付を受けてから同じ原本を次へ使う方法があります。
銀行が三つあれば、協議書も三通必要ですか?
必ず三通とは限りません。原本を確認後に返す銀行もあるため、順番に手続するなら一つの原本を使えることがあります。三行を同時に進めたい場合は、各行の原本確認と返却方法を先に確認します。
署名・押印した後に、原本を追加できますか?
未署名の紙をコピーしても原本にはなりません。追加する一通にも、合意した同じ最終文面を使い、相続人全員が自署して自分の実印を押す必要があります。必要数は署名を集める前に決めておくと確実です。