さいたま市から「固定資産の相続人に関する申告書」が届きました。相続登記とは別ですか?
ご相談
父が亡くなった後、さいたま市から「固定資産の相続人に関する申告書」が届きました。期限までに返送するよう書かれていますが、法務局からは何も届いていません。この申告書を返せば、父名義の実家も相続人の名義へ変わるのでしょうか。
別の手続です。申告書を返しても、父名義の登記は変わりません
さいたま市へ提出する申告書は、相続登記が終わるまでの間、固定資産税を扱うための手続です。申告書を返送しても、法務局で行う相続登記は終わりません。実家の登記名義を父から相続人へ変えるには、別に相続登記を申請します。
市役所から期限の書かれた公的な書類が届けば、これが不動産の名義変更だと思うのは無理もありません。市役所からは申告書が届いても、法務局から相続登記の書類が同じように届くわけではないため、二つの手続が一つに見えてしまいやすいところです。
届いた書類と、現在の登記を分けて確認します
- 書類の表題と、返送期限さいたま市では、固定資産現所有者申告書を兼ねた相続人代表者指定届などが使われています。まず、届いた書類の名称と、その書類に記載された期限を確認します。
- 書類に載っている土地・家屋どの土地や家屋について届いた書類なのかを確認します。固定資産税の書類に載っているものだけで、父名義の不動産がすべてとは限りません。
- 法務局にある現在の登記名義登記事項証明書などで、現在の名義人を確認します。固定資産税の申告を済ませていても、登記が父名義のままなら相続登記は別に必要です。
市役所への申告と、法務局への相続登記は別々に進みます
- さいたま市から届いた申告書へ対応する
書類に書かれた提出期限と提出先を確認して返送します。さいたま市では、現所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過する日までの申告が原則です。
- 対象不動産の現在の登記を確認する
固定資産税の書類とは別に、土地・建物の登記事項証明書などから、現在も父名義のままかを確認します。
- 相続人と、誰が不動産を取得するかを確認する
戸籍から相続人を確認し、遺言書があるのか、遺産分割協議をするのかなど、そのご家族に合う進め方を整理します。
- 法務局へ相続登記を申請する
必要書類をそろえ、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。ここで初めて、登記簿の所有者名義が相続人へ変わります。
同じ相続の書類でも、目的と提出先が違います
| 固定資産税の申告 | 相続登記 | |
|---|---|---|
| 目的 | 相続登記が終わるまでの間、固定資産税を負担する現所有者や、通知を受け取る代表者を市が確認します。 | 相続によって不動産を取得した方を、登記簿上の所有者として記録します。 |
| 窓口 | 固定資産がある区を担当する、さいたま市の市税事務所資産課税課です。 | 不動産の所在地を管轄する法務局です。 |
| 提出後 | 固定資産税の納税通知書などを送る相手が整理されますが、所有権や遺産の分け方は決まりません。 | 審査が完了すると、登記簿の所有者名義が相続人へ変わります。 |
| 相続登記の義務 | この申告だけでは、相続登記の申請義務へ対応したことにはなりません。 | 相続登記または相続人申告登記を法務局で行い、期限へ対応します。 |
名前が似ている法務局の手続に「相続人申告登記」があります。固定資産現所有者申告書とは、窓口も役割も異なる別の制度です。
さいたま市では、不動産がある区によって提出先が分かれます
固定資産現所有者申告書は、固定資産がある区を担当する市税事務所資産課税課へ提出します。浦和区・中央区・桜区は南部市税事務所資産課税課の土地第1係・家屋第1係、南区・緑区は土地第2係・家屋第2係が担当です。届いた書類に返送先が書かれている場合は、その案内を確認します。
すでに相続登記が完了している場合、さいたま市への固定資産現所有者申告書は提出不要と案内されています。一方、未登記の建物は法務局に登記簿がないため、市税事務所で別の名義変更を確認します。
私なら、届いた申告書と現在の登記を並べて確認します

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
「市役所から相続の書類が届きました」と相談されたら、私はまず、その書類に載っている不動産と現在の登記を確認します。市役所で把握している固定資産と、法務局で父名義になっている不動産が、必ず同じ範囲とは限らないからです。
市役所への返送まで済ませたのに、相続登記が別にあると知れば、また手続が増えたように感じると思います。それでも、ここで二つを分けて確認できれば、父名義の不動産をそのままにしてしまうことは避けられます。書類名を覚えるより、登記名義が変わったかを確認できれば大丈夫です。
市役所の申告後に残る相続登記を確認します
- 届いた申告書に記載された土地・家屋を確認する
- 登記事項証明書から、現在の所有者名義を確認する
- 戸籍を集め、今回の相続人を確定する
- 遺言や遺産分割の内容に合う相続登記を申請する
- 土地・建物のほか、私道持分などの見落としがないか確認する
さいたま市への申告を済ませた後からでも相談できます。届いた書類をそのままお持ちください。
戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、対象不動産の確認、法務局への相続登記までまとめて進められます。
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固定資産現所有者申告書を出すと、実家を取得する相続人が決まりますか?
決まりません。この申告は固定資産税のための手続です。実家を誰が取得するかは、遺言や相続人全員の遺産分割協議などから別に確認します。
相続人代表者になった人が、実家の所有者になりますか?
相続人代表者は、固定資産税の納税通知書などを受け取る代表者です。代表者に指定されたことだけで、その方が実家を単独で相続することにはなりません。
市役所の申告をすれば、相続登記の3年の期限にも対応できますか?
対応できません。相続登記の期限へ対応する手続は法務局で行います。取得者への相続登記が難しい場合は、相続人申告登記を利用できることがあります。
相続登記が終わっているのに、申告書が届きました
行き違いの可能性もあるため、登記事項証明書や登記完了の資料を確認し、申告書に記載された市税事務所資産課税課へ問い合わせます。
申告書に載っている不動産だけを相続登記すればよいですか?
申告書に載っているものだけで、父名義の不動産がすべてとは限りません。非課税の土地や私道持分なども含め、現在の登記から対象を確認します。