兄弟の共有名義にするか、代表者一人の名義にするか迷っています
ご相談
父の実家を、兄弟で半分ずつの共有名義にしようと思っていました。ただ、近くに住んでいる兄が管理するなら、兄一人の名義のほうがよいとも聞きます。すぐに売るか、しばらく残すかも決まっていません。どちらにすれば公平で、後から困らずに済むのでしょうか。
管理を任せる人と、家を相続する人は、同じでなくても大丈夫です
共有名義は、兄弟それぞれが家の権利を持つ形です。管理の窓口を一人に任せるだけなら、必ずしもその人だけの名義にする必要はありません。一人の名義にする場合は、その人が家を自分のものとして引き継ぐのか、売却して代金を分けるために代表するのかによって、進め方が変わってきます。
「半分ずつなら公平かな」と思っても、実際に家へ通う人と遠方に住む人では、負担が違いますよね。かといって、一人の名義にしたら自分の取り分がなくなるのでは、と迷ってしまう。ここまで調べて決めきれないのは、名義の違いだけでは答えが出ないからです。実家を誰が使い、維持費用をどう負担し、将来どうしたいのかまで含めて考えると、ご兄弟に合う形が見えやすくなります。
名義を決める前に、ご兄弟の希望を確かめておくと選びやすくなります
- 実家を使いたい人がいるか自分で住みたい、誰かに貸したい、誰も使わないので売りたい。実際に家を使う人が決まっているかどうかで、名義の選び方も変わってきます。
- 管理の手間と費用を、どう分担したいか実家にかかる費用は、固定資産税だけではありません。室内の片付けや庭の草刈り、建物の修繕などもあります。実家へ通う人に、連絡の窓口も費用の支払いも任せきりにならないよう、あらかじめ話し合っておくと安心です。誰がどの費用を負担するかという取り決めも、遺産分割協議書に残しておくことがあります。
- それぞれが受け取りたいものは、家の権利か、お金か実家そのものの権利を残したいのか、それともお金で受け取りたいのか。「公平に分けたい」という希望があっても、何を望んでいるかには一人ひとり違いがあります。
共有名義と一人の名義を、公平さ・管理・売却で比べます
ここでは、兄弟二人が相続する架空の例で比べます。共有なら持分各2分の1、一人の名義なら、その人が実家を取得する形を前提にしています。売却のために代表者一人の名義にする場合については、後ほど別に説明します。
| 比較すること | 兄弟の共有名義 | 一人が家を取得する名義 |
|---|---|---|
| 公平さ | それぞれの権利を持分として登記できる。ただし、管理の負担まで半分になるわけではない | 家の権利は取得した一人のものになる。ほかの遺産や代償金を含めて、全体の分け方を合意する |
| 管理 | 連絡窓口は一人にまとめられるが、家の使い方などは共有者で決める場面がある | 原則として所有者が一人で判断できる。管理の手間や費用も、その人が引き受けることになる |
| 将来の売却 | 家全体を売るには、原則として共有者全員の合意と手続への協力が必要 | 原則として所有者が一人で売却できる。売却代金を兄弟で分けるかどうかは、別に合意が必要 |
一人が実家を取得し、もう一人が預貯金を取得する分け方もあります。ほかの遺産だけでは調整しきれない場合は、実家を取得する人がほかの兄弟へお金を支払う「代償分割」という方法もあります。ただし、支払うお金を用意できるか、実家をいくらと評価するかについての話し合いが必要です。実家を共有にすることだけが、公平な分け方とは限りません。
一人は実家に住み続けたい、もう一人はお金で受け取りたい。そんな場合には、実家の価格だけでなく、それぞれの希望や、代償金を支払う負担も関わってきます。すべてをきれいに同じにするのは難しいものです。ご兄弟の間で希望に違いがあっても、それだけで話し合いが進められないわけではありません。お互いにどこまでなら納得できそうかを話し合いながら、分け方を決めていくことになります。
一方で、ご兄弟がそれぞれ家の権利を持ち、今後も協力して使っていくのであれば、共有を選ぶ道もあります。共有名義が必ず悪いわけではありません。ただし、持分が半分ずつであっても、片方だけで何でも自由に決められるわけではなく、通常の管理についても二人の合意が必要になる場面があります。家を維持するための保存行為など、一人でできることもあるため、すべての作業に全員の同意が必要という意味ではありません。
共有名義にした後の管理や売却の注意点は、別の記事で説明しています。
「代表者一人に任せる」には、違う意味が含まれています
例えば、お兄さんを不動産会社や管理会社との連絡窓口にするだけなら、共有名義のままでも進められます。これは連絡の窓口を決める話であって、実家の所有権をお兄さん一人に移す話ではありません。任せる範囲と費用の分担があらかじめ分かっていれば、窓口を一人にまとめながら、兄弟それぞれの権利を残すこともできます。
実家を売却して代金を分ける場合、売却手続きのために代表者一人の名義へ相続登記する方法もあります。この場合は、その人が実家を自分のものとして取得する場合と区別して、売却する目的、かかる費用、代金を分ける割合をあらかじめ合意し、遺産分割協議書へ記載しておきます。
例えば、売却までにかかった管理費用や登記費用などを売却代金から差し引き、残った金額を分けるという取り決めです。
単に「手続が楽そうだから、お兄さんの名義にしておこう」というだけでは、ほかの兄弟の取り分が登記に残るわけではありません。また、一人の名義で売却したあとにお金を渡す場合の税務上の扱いも、合意の内容や書面、実際の分配方法によって変わってきます。名義を変える前に、相続登記の進め方と税務面を確認しておくと安心です。
売却することが決まっている場合の名義は「売却代金を兄弟で分ける場合、実家を誰の名義に相続登記しますか?」で、売却から分配までの流れは「実家を売り、代金を兄弟で分ける進め方」で説明しています。
実家を残すか売るかがまだ決まっていない段階では、誰の名義にすべきかも決めにくいものです。今すぐ結論が出なくても、相続登記の期限への対応は別に相談できます。なお、いったん共有にしてから後で一人の名義へ変える場合には、別の登記や費用、税務の検討が改めて必要になることもあります。
名義を決めきれなくても、そのままご相談いただけます

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
「公平に分けたいけれど、家の管理まで二人で続けるのは難しそう」。決めきれなくても、そのままお話しいただければ大丈夫です。私は、実家を使いたいご希望があるか、誰にどの負担がかかりそうかを伺いながら、ご兄弟で合意した分け方に沿う相続登記の形を一緒に確認していきます。
ご兄弟の希望に合わせた相続登記を相談できます
- 現在の登記を調べ、相続登記が必要な不動産を確かめる
- 合意した分け方に合わせて、登記名義と持分を整理する
- 戸籍収集、遺産分割協議書の作成、相続登記の手続きをまとめて進める
- 実家の査定や売却についても、続けて相談する
実家の分け方がまだ決まっていなくてもご相談いただけます。相続登記だけのご依頼も可能です。なお、ご兄弟の間で分け方に争いがある場合の交渉は弁護士へ、税務上の判断は税理士へ相談する必要があります。
名義が決まった後の書類準備から相続登記の申請まで、まとめてお任せいただけます。
相続登記おまかせプランを見る司法書士報酬99,000円(税込)/管轄法務局1か所まで・登録免許税と証明書実費は別実家の共有名義と一人の名義についてよくある質問
兄弟で半分ずつの共有名義にすると、家の半分をそれぞれ使うことになりますか?
持分2分の1は、家の右半分・左半分をそれぞれ所有するという意味ではありません。家全体について、それぞれが2分の1の権利を持つ形です。実際に誰が住むか、どのように使うかは、名義とは別に話し合って決めます。
一人の名義にすると、ほかの兄弟は必ずお金を受け取れますか?
名義を一人のものにしただけで、ほかの兄弟への支払いが自動的に決まるわけではありません。実家の代わりに預貯金を取得するのか、代償金を受け取るのか、それとも売却後に代金を分けるのか。受け取る内容についても、あらかじめ兄弟間で合意しておく必要があります。
共有にしてから、後で一人の名義にまとめることはできますか?
まとめることはできますが、最初の相続登記とは別の手続きになります。持分を売るのか、贈与するのか、共有物を分割するのかなど、どの方法でまとめるかによって費用や税務の扱いも変わるため、名義を移す前に相談しておくと安心です。