相続した不動産を共有名義にすると、あとで何に困りますか?
ご相談
父の実家を兄と私で相続します。どちらが取得するか決めきれないので、とりあえず2分の1ずつの共有名義にしようと話しています。半分ずつなら公平に思えますが、あとで困ることはありますか。
共有は、登記したあとも二人で決め続ける形です
共有名義にすると、売却、修繕、賃貸、費用負担、誰が住むかを、その後も共有者同士で調整します。兄弟各2分の1では、一方だけで決められないことが多く、数年後に事情や考えが変わると話が進みにくくなります。共有を選ぶなら、持分だけでなく、使い方と費用、共有を終える時期や条件まで決めておきます。
共有そのものが間違いということではありません。売却することが決まっており、その準備のため一時的に共有する場合など、目的と終わりがはっきりしている場面では選択肢になります。気をつけたいのは、「今は決められないから半分ずつ」にして、登記後のことを何も決めないまま終える形です。
共有名義にする前に、3つ確認します
- 誰が住み、誰が使うのか一人が住むのか、空き家にするのか、貸すのかを確認します。一人だけが使うなら、使用料を払うか、いつまで住めるかも話します。
- 税金、管理、修繕の費用を誰が払うのか固定資産税、火災保険、草刈り、修繕などを挙げ、負担割合、支払担当、立替えたときの精算方法を決めます。
- どのようなときに共有を終えるのか何年後に見直すか、売却の申出があったらどうするか、一方が取得するときの価格をどう決めるかまで確認します。
共有したあとに困りやすい5つの場面
1 不動産全体を売りたいとき
実家全体を売るには、共有者全員の協力が必要です。一人が売りたいと思っても、もう一人が価格や時期に納得しなければ、そのまま売却へ進むことはできません。
2 修繕や賃貸の方針が分かれたとき
共有物の管理は、原則として持分の価格の過半数で決めます。兄弟が各2分の1なら、一人だけでは過半数になりません。ただし、壊れた箇所の応急修理など、現状を保つための行為は一人でできることがあります。何もかも全員一致というわけではありません。
3 一人だけが住み、もう一人が費用を払うとき
住んでいる人だけが利益を受け、住んでいない人に固定資産税や修繕費の負担だけが残ると、不満が生まれやすくなります。誰が住むか、使用料をどうするか、税金や修繕費をどの割合で負担するかは、共有にするときに決めておきます。
4 一人が自分の持分を手放したいとき
不動産全体は一人で売れませんが、自分の共有持分だけを第三者へ譲ることはできます。そうなると、兄弟ではない人が新しい共有者となり、以後の管理や共有解消をその人と話し合うことがあります。
5 共有者の一人が亡くなったとき
共有持分も相続の対象です。兄弟二人の共有だった実家が、一方の死亡により、その配偶者や子を含む共有になることがあります。世代が進むほど、連絡先と希望をそろえる相手が増えていきます。
共有が合うのは、目的と終わりが見えている場合です
たとえば、実家を売ることと売却代金の分け方が決まっており、相続登記から売却までの間だけ共有する方法があります。この場合も、売却価格の決め方、経費、代金の受取り、売れなかったときの見直し時期まで決めておくと進めやすくなります。
不動産を売って代金を分ける方法は「換価分割とは?」、協議書へ書く内容は「換価分割の遺産分割協議書の書き方」で説明しています。
誰が鍵を持つか、連絡方法、年間費用の予算、修繕の承認方法、売却を検討する日、持分を手放す前の連絡などを具体的にします。約束を書いても将来の事情をすべて固定できるわけではありませんが、何も決めずに始めるより判断の基準をそろえられます。
私なら、「半分ずつ」にする前に、共有を終える日まで考えます

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
共有は、今の相続人同士の関係が良ければ問題がないように見えます。ただ、不動産を持つ期間は長く、仕事、家族、住まい、お金の事情は変わります。相続人本人だけでなく、その配偶者や子が関係することもあります。
私なら、持分割合を決める前に、誰が使い、誰が費用を払い、いつ売るのかを確認します。そのうえで、共有を終える条件まで決められるかを考えます。そこまで決められないなら、現物分割、代償分割、換価分割をもう一度比べます。
共有にする前に、ほかの分け方と一緒に整理します
- 土地・建物・私道持分など、相続する不動産の範囲を確認する
- 誰が使うか、費用をどう負担するか、将来売却するかを整理する
- 現物分割・代償分割・換価分割・共有を比べる
- 合意した内容を遺産分割協議書と相続登記へつなげる
共有者間ですでに対立がある場合や、持分売却・共有物分割を巡る交渉が必要な場合は、弁護士へ相談する範囲です。浦和ホームでは、相続人全員で話し合える段階の整理と、合意後の協議書・相続登記をお手伝いします。
『公平だから半分ずつ』と決める前に、登記後の使い方まで一緒に確認できます。
不動産の分け方と相続登記を相談するさいたま市浦和区の司法書士事務所/全国の不動産に対応不動産の共有名義についてよくある質問
兄弟の一人が反対しても、不動産全体を売れますか?
通常の売却では、共有者全員の協力が必要です。一人の判断だけで売れるのは自分の持分であり、不動産全体ではありません。話合いがまとまらない場合の共有物分割は、別の手続として考えます。
自分の2分の1の持分だけなら売れますか?
自分の持分だけを譲ることはできます。ただし、持分だけの売却は不動産全体の売却とは価格や買い手が異なり、第三者が新しい共有者になる影響もあります。売る前に共有者間での取得や不動産全体の売却も比べます。
兄だけが住む場合、弟へ家賃を払う必要がありますか?
無償で住む合意があるか、いつからどのような経緯で住んでいるかなどによって整理が変わります。共有にするときは、無償か有償か、税金や修繕費を誰が負担するかを明記しておくと分かりやすくなります。
共有者の一人が亡くなったら、もう一人のものになりますか?
自動的にもう一人のものになるわけではありません。亡くなった方の共有持分は、その方の遺産として相続の対象になります。配偶者や子などが相続すれば、新たな共有者になります。